予約1件20〜45分の手作業が約1分の確認に AI Acceleratorが観光バス・旅行業者向けにバックオフィスAI化支援を開始

株式会社Enjin(東証グロース:7370)の子会社である株式会社AI Acceleratorは、2026年11月5日から、観光バス事業者と旅行業者を対象にしたバックオフィスAI化支援サービスの提供を始めました。このサービスは、グループの観光バス会社である株式会社En Journeyで実際に運用している予約処理AI化の仕組みがベースです。予約依頼の確認から資料の読解、管理システムへの入力・照合・報告までの業務改善を支援します。

En Journeyの現場で起きた変化
LINEやWeChatで届く予約を、1件ずつ手作業で処理していた
En Journeyでは、予約の依頼がLINEやWeChatで届きます。これまで担当者は1件ごとに、次の作業を手作業でこなしていました。
- 予約依頼の内容の確認
- 添付のPDFなどの資料の読み取り
- 管理システムへの入力・修正
- 入力漏れや誤りがないかのチェック
- 関係者への報告
1件にかかる時間は20〜45分でした。この作業を、3名の担当者がほかの業務と兼務しながら担っていました。
「AIが処理し、人は確認するだけ」の運用へ
同社は、確認から報告までの一連の作業をAIが行い、人は最後に結果を確認するだけの運用に切り替えました。その結果、予約1件あたりの人の作業時間は20〜45分から約1分になり、削減率は95%以上(95〜98%)となりました。人件費に換算すると、年間約1,000万円相当の業務をAIに置き換えています。業務記録に基づくと、担当者3名は予約事務の負担が減り、営業や顧客対応にも時間を充てられるようになりました。
なお、作業時間は現場責任者の申告・見積りに基づくもので、実測値ではありません。追加の例外対応や保守にかかる工数も含みません。人件費換算は試算値(約1,037万円)です。厚生労働省「毎月勤労統計調査」(令和6年確報)の運輸業,郵便業・一般労働者の月間現金給与総額(433,359円)から1人年約520万円とし、担当者3名分に、業務記録に基づく予約事務の割合(約70%)と削減率(95%)を乗じて算出しています。この金額は賞与を含み、会社負担の社会保険料等は含みません。また、担当者は他業務に従事しているため、人件費の支出額が同額減少したことを示すものではありません。
年間約1,000万円相当の事務に使われていた時間とコストは、営業や顧客対応といった売上につながる業務に振り向けられています。このサービスは、事務コストを下げるだけでなく、生まれた余力を「攻め」の業務に再配分できる状態をつくることを目指しています。

サービスの中身:業務の棚卸しから定着まで一貫支援
このサービスでは、業務の棚卸しから、AIと業務システムを組み合わせた仕組みの設計・導入・定着までを一貫して支援します。主な特徴は次のとおりです。
- 対象業務:予約処理とその付帯業務(予約依頼の確認、資料の読解、管理システムへの入力・修正、照合、報告)。請求・入金管理、経費・契約管理、営業・月次管理、旅行業務にも順次対応する予定です。
- 一連の流れで効率化:資料の読解から入力・照合・報告までを、ひと続きの業務として設計します。
- 既存システムを活かした導入:API連携の仕組みを持たない既存の業務システムでも、AIによる画面操作を組み合わせて導入できる場合があります。
- グループ会社で実運用中:En Journeyで実際に運用している仕組みと実践知をもとに支援します。

背景にある貸切バス業界の小規模構造
国土交通省の調べ(2023年3月末時点)によると、全国の貸切バス事業者は3,556者です。そのうち約6割(58.9%)が保有車両10両以下、約4割(42.7%)が従業員10人以下の小規模事業者です。限られた人員で運行と事務の両方を担う事業者にとって、予約の確認や入力、照合にかかる時間は大きな負担になっています。
Enjinは「AIを携えて既存産業に参入する」ことを掲げてAI Acceleratorを設立しました。AI Acceleratorはグループ各社の現場に入り込んで横断的に業務改善を進めており、観光バス事業ではEn Journeyの予約処理AI化を実運用に乗せました。今回のサービスは、その仕組みと実践知を外部の事業者に提供するものです。AI Acceleratorは、AIを組み込んだバス管理システムの開発も進めています(提供時期は未定)。このサービスと合わせて、バス業界全体のAI化と生産性向上を目指すとしています。なお、Enjinは、本件が同社の2027年5月期連結業績に与える影響は軽微であると見込んでいます。
出典:株式会社Enjin










